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60代女性
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相談内容 |
「審美治療をしたい」と近隣の歯科医院からの紹介で来院された患者様です。
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診断結果 |
拝見したところ、下前歯と上左右の前歯2本以外の歯には被せ物が装着されていましたが、歯茎が下がり被せ物との間に段差が多くありました。
また、右上の歯(第2小臼歯)、左上奥歯(第2大臼歯)、左下奥歯(第1大臼歯)は元々欠損していて、右下奥歯2本(第1大臼歯、第2大臼歯)は歯が折れていました。
さらに、上下の歯を噛み合わせた時に下あごが左側にずれていたり、上前歯が覆いかぶさって下前歯が隠れてしまう程深く噛み込んでいたりと、噛み合わせも不適切な状態です。
噛み合わせの深さが影響して、下前歯は上の歯に強く当たり歯の尖端が擦り減っていました。
このまま不適合な被せ物を放置すると、見た目の問題だけでなく、虫歯や歯茎に炎症を起こす「歯周病」のリスクが高まります。
深い噛み合わせに関しては、顎の関節に負担がかかりやすいため、口が開けづらくなったり顎の関節や筋肉が痛む「顎関節症」を引き起こす可能性もありました。
患者様は血圧を下げる薬を飲んでいることもあり、身体への負担がなるべく少ない方法で、審美性や噛み合わせなどを改善する治療が必要と診断しました。
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治療内容 |
右下の奥歯2本は、歯が折れているため抜歯する必要があることをお伝えしました。
右上の欠損部分は歯が隙間なく綺麗に並んでいるため問題ありませんが、その他の欠損部位や抜歯箇所には人工の歯根を骨に埋め込む「インプラント治療」を提案しています。
さらに、噛み合わせを改善するために矯正治療を行った後、被せ物を装着して審美性を改善する方法を説明し、同意いただきました。
まずは歯が折れている右下奥歯2本を抜歯し、右上以外の欠損部分に合計4本のインプラントを埋入しました。血圧を下げる薬を飲んでいる場合、血圧の変動や薬の副作用による出血のしやすさに注意が必要です。そのため、抜歯やインプラント埋入時には麻酔を工夫して血圧の変動を極力抑え、歯茎を切り開かずに埋入する「フラップレス手術」を採用して出血量の軽減を図りました。
次に、元々装着されていた被せ物をすべて取り外し、最終的な被せ物を想定した仮歯を装着します。
また、左上奥以外のインプラント部分にも仮歯を装着しました。
その後、一部の歯の表面に四角い装置を接着してそこへワイヤーを通して歯を動かす「マルチブラケット装置」で矯正治療を実施し、噛み合わせを適切な位置へ導きました。
噛み合わせの位置が決まったらワイヤー矯正の装置を取り外し、仮歯を丈夫で自然な見ための被せ物へ変えていきます。
歯の色調や形、噛み合わせなどを考え、元々被せ物が装着されていなかった上左右の前歯や下前歯にも被せ物を装着しました。
最後に、動かした歯の位置が後戻りしないように、下前歯の裏側をワイヤーで固定する「保定装置」を取り付けて治療を終了しました。
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費用 |
8,800,000円
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治療期間 |
24ヶ月
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リスク・備考 |
・持病をお持ちの方や、服用中のお薬の種類によっては、外科処置ができない場合があります
・外科処置後に腫れ、出血が生じる場合があります
・高血圧、貧血・不整脈などの持病をお持ちの場合、インプラント治療後に治癒不全を招く可能性があります
・歯の移動に伴って、違和感や痛みを感じる場合があります
・正しいブラッシングやメンテナンスを行わない場合、虫歯や歯周病のリスクが高まります
・装着に際し、天然歯を削る場合があります
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